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Exhibition Vol516 [Food]

旅と食文化

弘前津軽そば

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今年の春に訪れた、弘前さくらまつりで見つけた三忠食堂、多くの出店の中で、その独特な看板絵に惹かれシャッターを切った。

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夜桜の撮影準備で三脚を取りにホテルへ帰ると、一階テナントの紀伊国屋書店のウインドに、まつりで見た三忠食堂の看板、え?中へ入ると津軽百年食堂と言う本が平積みされていた・・・。
この物語は弘前から上京した若者の話から始まるのだが、その父、祖父の物語が時代を越え混じり合い平行して展開する。故郷で父が営む食堂の始まり成り立ちを中心に、それぞれの時代、それぞれの人生が弘前の美しい風景の中で叙情的に描かれ、読み終わると心がホンワリと暖かくなった。


津軽百年食堂

津軽百年食堂

  • 作者: 森沢 明夫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/02/28
  • メディア: 単行本



百年食堂?元々全国には昔からその土地の生活に根ざし、代々長い時を刻んだ食堂が存在している。その土地で愛され、日常的に出されている料理が、初めて訪れた旅人には驚きの存在であったり、その土地独特の文化や歴史が、その料理方法、素材から読み取れたり、感じたりする。風景写真を撮っていても、その土地の食文化を知る事で、その風景が見えて来る。人々の営みの中の、衣、食、住、は一代でその土地に根付く事は無い、永い時をかけ、代々繋ぐ事でより深い物に成って行く。

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津軽百年食堂は親子三代70年以上続く食堂を取材し、その舞台をフィクションで造り上げているのだが、この山忠食堂の津軽そばが大切なキーワードとなっている。見た目は蕎麦なのだが、口に運ぶとまったく別の麺類、初めての食感だ。下手すると蕎麦通気どりの客は頭に来て怒るかも知れない。だが地元の人々には絶大な人気がある。この蕎麦のルーツ成り立ちの理由を知るとなるほどと納得する。


*この動画はYouTube、aokomakiさんの掲載ページから貼付けさせていただきました。青森の昭和30年代の写真で、当時の生活を知る事ができます。
まずはそばがきを作り、一晩寝かしグルテン質を上げ、大豆粉とそば粉を混ぜたものに、寝かしたそばがきを繋ぎに練り上げる。それを製麺し、湯で上げ冷水で〆置き。注文を受けてから、改めて、湯通して、汁をはり出来上がりである。恐ろしく手間のかかる麺なのだが、津軽百年食堂を読むとそのルーツに納得する。中華そばもシンプルだが、とても懐かしく、美味かった。

一関とろとろトンカツ

旅人の心構え「郷に入っては郷に従え」

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一関、美松のとろとろトンカツ。衣サクサク、口の中で肉ジュワ〜、ホロホロと砕け溶ける。え!中身は、生の肉では無く、ジックリと煮込まれた分厚いチャーシューなのだ。カルチャーショックと言うか私の辞書に無いパターンだ、これをトンカツと言って良いのか微妙なのだが、自分の概念が常識ではない、先日友人と新橋の居酒屋でハムかつを食べた瞬間、このとろとろトンカツのイメージが頭を過った。私の心の中のハムかつは薄ペラで衣が厚い物が、昔懐かしく、それがハムかつの王道と考えていた。だが、新橋「大露路」のハムかつの厚さに度肝を抜かれ、食べた瞬間、ガラガラと私の中のハムかつ像が崩れ去った。


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妻が注文した海鮮オムライス。メニューの写真は見ていたのだが、真っ黒く光り輝くイカスミ入りのタマゴの表面に真っ赤なケチャップ、実物がテーブルに運ばれて来るとその存在感は超ド級だった。
この店のメニューは見ていて飽きない、洋食やさんの定番メニューから中華、和食どれも心引かれるのだが、店主が考えた他では見た事の無い不思議なメニューに二人で笑った。斜め向かいの窓際の席に20代全半と思われるの女性が三人、料理を待っている。たぶん幼なじみで食事に来ているのだろう、最初に出て来たのが本日の定食、次がなかなか出て来ない、あ〜冷めちゃうよ、私は、見てい気が気でない。昼時で満席、メニューも多いし仕方ないのかな、それでも他の二人はお先にどうぞと言わない、次に出て来たのが特製オムライス(オムハヤシ)、湯気立ち、熱々・・・、お先にどうぞ、冷めちゃうよ、おいおい、お嬢さん言いなさいよ・・・。それから数分、最後の海老フライ定食が出て来た、あ〜長かった。最初の定食のお椀から湯気は消えている、三人は手を合わせニコニコと美味しそうに食べ始めた。少し時間軸が違う、何故私は他者の食事の行程にイライラしたのだろう?本来あるべき姿は彼女達ではないのか、郷に入っては郷に従え、周りのお客さんもニコニコとゆっくりと時間を楽しむように料理を待っていた。